インディアンとは、一般的にインド人ではなくアメリカ先住民のことを指します。
今となってはアメリカ合衆国やカナダに広く分布して生活しているインディアンですが、彼らはもともと固有の言語を使っていました。
今となっては英語を覚え、アメリカの社会に溶け込んでいるインディアンもたくさんいます。
しかし、いまだに固有の文字を使っている部族もいるのです。
部族によって文字は変わってきますが、ここではチェロキー族の文字、チェロキー文字について解説します。
チェロキー文字の概要
「涙の旅路」で有名なチェロキー族は、彼ら独特の音節文字を持っています。
チェロキー文字には85の種類があり、その中にはラテン語と同じような文字もあります。
しかしその一方でラテン語とは違い、音節文字であるため、文字の種類は全く異なると言えるでしょう。
また、仮にチェロキー文字がわからなかったとしても、同じような文字体系を持つ人は文脈などからチェロキー文字を理解することが可能です。
今日においてもチェロキー族の宗教や民話などを書き留めるために使われています。
リベリアの文字の基盤
近年ではチェロキー文字がリベリアにある文字の基盤になっているということがわかりました。
リベリアの文字は西アフリカの表記法としては1832年から1833年頃に出来上がった最初のものであると考えられており、チェロキー文字が出来上がった後にリベリアに移住したチェロキー族が橋渡しをしたと考えられています。
他にも西アフリカの文字の中にはチェロキー文字とよく似たものもあり、その間には関連があると考えられています。
悲しい歴史による固有文字の消滅
このようにインディアンたちは独特の文字を持ち合わせていましたが、多くの文字はアメリカ合衆国による同化政策によって奪われてしまいました。
インディアンたちは白人ではなく、アメリカ人ではないと考えられ、子供たちは親元から引き離されて英語覚えさせられ、聖書読まされるなど、白人になるための教育が行われたのです。そのような中で彼らは自分たちの文字を失っていきました。
同化政策を受けた子供たちは親元に帰っても固有の言語がわからず、その上で白人社会に溶け込むこともできず、その結果しっかり教育を受けることができずにちゃんとした就職もできず、貧困率を上げることになってしまったのです。
今でもインディアンの貧困率は高いと考えられており、アメリカ社会の問題となっています。
まとめ
いかがでしょうか。
インディアンたちに固有の文字があったのにもかかわらず、今はほとんどが失われてしまったというのも残念ですよね。
しかしチェロキー族のように今でも自分たちの文字を大切にしている人たちがいます。
チェロキー族に関しては、彼らの共同体に加わるためにはチェロキー文字がわかっていなければいけないとも言われているのです。